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  • 母のような優しさを、 自分自身にも向ける。
  • 食の最前線に立ち、 感性に響く料理を届ける。
  • 次世代に文化をつなぐ、 伝える職人であり続ける。
  • 軽やかに挑戦できるように、 自分に余白を作っておく。
起業家 片山 有紗さん

母のような優しさを、
自分自身にも向ける。

interview2025.08.26

〈銀座もとじ〉の店主・泉二啓太さんから紹介いただいたのは、女性のためのウェルネスブランド「for her.」を手掛ける片山有紗さん。片山さんはアメリカでの出産・育児の経験から「誰かのためにがんばる人こそ、まず自分をいたわる時間が必要」と実感したことをきっかけに「for her.」を立ち上げました。現在は、“お母さんのようなやさしさを、自分にも”という思想のもと、日々の生活に寄り添う「omamori soup」シリーズなどを通じて、事業を展開。働く女性として、母として。自分を後回しにしないことの大切さを伝える片山さんにケアにまつわる話を聞きました。

プロフィール

片山 有紗さん
起業家 片山 有紗さん

かたやま・ありさ/1991年東京生まれ。生後3ヶ月から15歳までアメリカ・ケンタッキー州で育つ。国際基督教大学卒。実親が営む老舗・自動車部品メーカー「片山工業株式会社」に入社。2023年「for her.」プロジェクトを立ち上げ、2025年「for her.株式会社」取締役社長に就任。

私のとある一日

産後の辛さは「耐えるもの」ではない。

―片山さんが女性のウェルネスに寄り添うブランド「for her.」を立ち上げたきっかけを教えてください。

4年前、カリフォルニア州で娘を出産したことがきっかけです。妊娠中は「出産がゴール」と思っていましたが、産後は想像を絶するほど心も体もしんどく、ものすごく辛くて。産後の痛みや炎症、倦怠感を抱え、精神的にも余裕がないまま、慣れない子育てに向き合わないといけない。そんな日々の中、産後ドゥーラという専門家から、育児や母体のケアについてさまざまなことを教えてもらい、とても救われました。特に助けられたのが、ドゥーラさんが作る必要な栄養をとるための食事だったんです。特にスープやシチューは胃に優しく、産後も消化を助けてくれる食事だと実感して。慣れない子育てで、たびたび貧血にはなることはあったものの、その他の産後トラブルを防ぐことができたのは、産後ドゥーラさんが教えてくれた栄養たっぷりのスープを飲んでいたおかげだと思いました。

その後、日本に帰国した時、日本で出産した友人の話を聞くと、産後ケアについてあまり知られていないと感じたんです。アメリカには産後や新生児のエキスパートがたくさんいて、私も産後ドゥーラさんだけではなく、母乳/授乳の専門家、スリープトレーニングの専門家などから、多くの事を教えていただきました。また同じアジア圏でも、中国や韓国には産後ケア文化が根付いていますが、日本では産後ケアの知識が広まっていないと感じました。

日本では、産後のトラブルはケアされるものではなく、「耐えるもの」という文化があり、多くの母親がその辛さを我慢しているのではないかと感じたんです。

そうした日本の産後ケア文化を変えられないだろうかと考えていた時、産後ドゥーラさんに用意していただいた食事のおかげで、身体の回復が早く、とても助けられたことを思い出しました。産後は自分のケアがおろそかになりがちなため、女性の体と気持ちに寄り添う栄養たっぷりの食事を提供しようと思い、産後ケアごはんの開発に至ったんです。

―開発にあたって苦労したことはありましたか?

産後ケアが日本ではまだ一般的でないので、最初はアメリカに暮らす元シェフの産後ドゥーラの方にレシピ開発を依頼しました。でも、日本で使われている食材と違ったり、日本人の舌だと物足りないと感じることもあって。レシピをもとに自分たちで何度もアレンジし、試作を繰り返していたのですが、なかなか納得の味にたどり着けませんでした。それから、料理家で薬膳師の井澤由美子先生に出会い、レシピを日本人向けにブラッシュアップしてもらいました。そうやって試行錯誤の末、約1年かけてようやく理想の味に仕上がりました。

誰かを思いやるように、自分にもやさしく。

―ブランド名「for her.」に込めた思いは?

「産後ケアスープ」として展開していくのであれば、「for mom.」でもよかったかもしれません。でも、産後の女性だけじゃなく、幅広い世代の女性にアプローチしたいと思っていたので、「for her.」と名前をつけることにしました。
実際に私自身、子どもが4歳になり、産後期は過ぎましたが、日々スープに助けられてます。娘が保育園に通い始めると、よく風邪を引くようになり、看病している自分も体調を崩すことがたびたびあって。風邪をひいた時、自分だけなら適当に済ませられる食事も、子どもがいるとそうはいかない。そんな時、キッチンにこのスープがあると「助かった」と思うんです。
また、夜遅く帰宅した時や生理が重い時、更年期症状を感じる時など、産後以外のさまざまな場面でも『「for her.」のスープが役立っています』という声をいただくようになりました。今後もライフステージやシーンを問わず、そっと寄り添える「おまもりスープ」として多くの人に親しんでもらえたらと思っています。

―片山さんが大事にしている「for her.」らしさとは?

薬膳の知恵をベースに、日本の良質な食材を使ってレシピを組み立てることが「for her.」らしさかなと思います。たとえば、旨味を感じられる醤油麹を使うとか、とろみをつけるために葛を使うとか。

「ビーツとクコの実の美活ポタージュ」は、鉄不足や疲労回復にも適したビーツと、薬膳の世界でよく知られているクコの実を組み合わせたスープです。クコの実は抗酸化作用や滋養強壮に効果があり、日常的に美容と栄養補給の両面で女性をサポートするメニューとして開発しました。
あと、日本人に馴染み深い豚汁をベースにした「カラダうるおす 白きくらげの白味噌豚汁」もあります。白味噌仕立てのスープに、潤い効能があると白きくらげを加えました。まろやかさを出すために豆乳ではなく、国産のライスミルクを使用したのもポイントです。なぜ、ライスミルクにしたのかというと、アメリカでは大豆アレルギーや遺伝子組み換えへの懸念があるため、ソイミルクを使わない傾向にあるんです。今後、アメリカでも安心して味わえるスープとして展開したいと思っているので、ライスミルクを選びました。

―片山さんの今後の展望はありますか?

日本だけではなく、アメリカでも事業を展開していきたいと思っています。栄養への意識はアメリカでも高まりつつありますが、実際にバランスの取れた食事を自分で用意するのは難しいという声が多く、手軽に摂れるスープのニーズは高いと感じています。まずはカリフォルニア州に特化して、展開を進めていく予定です。

私は15歳までアメリカの田舎で育ったのですが、日本の食や文化が正しく知られていないことにもどかしさを感じていました。豊かで奥深い日本の食文化を世界に伝えていきたい。その想いが、今の活動の原点にもなっています。そして、これからは、海外の良い文化や知識を日本に届ける一方で、日本の伝統や知恵を海外に広めていく、双方向の発信を強化していきたいと考えています。
日本では女性のウェルネス領域はまだまだ未開拓な部分も多く、自分自身の経験を生かしながら、女性だからこそできる事業やアプローチを形にしていけたらとも思っています。私自身、グループで初めての女性経営者でもあるので、そうしたことにも意味を見出しながら、次の世代につながる活動を続けていきたいです。

違和感をそのままにしないことが、体調管理の基本。

―お話を聞いていると、「for her.」を始める前から片山さんはケアやウェルネスを大事にされている印象があります。

そうですね。若い頃からケアの意識は高かったです。それは、母の影響がとても大きいです。母はアメリカに住んでいた頃からホールフーズで食材を選び、日々の食事に気を配ってくれていました。また、母方の家族がフードビジネスに携わっていて、食に対する意識が自然と家庭に根づいていたと思います。

ただ、自分をケアしていたつもりでも、20代で流産を経験しました。その時、アロマセラピーとリフレクソロジーの先生に相談したら、「足先の冷えを解消しましょう。妊娠を維持するには、まず体の土台から整えることが必要です」と言われて。それまで加圧トレーニングなどで血流を意識していたつもりでしたが、根本的に体を温めるという視点が抜けていたとハッとして。
また、20代前半に一度生理が止まり、病院へ行ったら「排卵していない」と言われたことがありました。その際も先生の施術を受けたことで、一ヶ月後には生理が戻り、生理痛も軽減されました。こうした体験を通して、ケアの積み重ねが自分の体に影響することを実感。不調を経験するたびに、学び直す機会があり、自分自身の体と丁寧に向き合うことの大切さを実感しました。

―具体的に今はどのようなケアをされていますか?

娘から風邪がうつって体調を崩すことが度々あるので、違和感を感じたら、すぐに対処するようにしています。特に粘膜が弱いので、喉のイガイガを感じたら、コップ一杯の水にエキナセアの原液を15滴ほど垂らして飲んでいます。エキナセアは抗菌や抗ウイルス作用、炎症を軽減する物質が含まれているそうなんです。移動中はエキナセア入りののど飴を舐めたり、出張や旅行に行くときには、エキナセアのお茶を持っていくようにしています。もう一つ、リコリスルートティーも。少々癖のある味ですが、喉に効くと知ってから取り入れています。ロサンゼルスのスーパー「Erewhon(エレウォン)」のオリジナルの喉スプレーもお気に入りです。亜鉛とプロポリスが配合されて、喉の痛みを軽減してくれる感じがします。

子どもと一緒に外で遊んだ日や旅先で「日焼けしたかも?」と感じたら炭酸パックをして、肌の赤みを鎮静するようにしています。肌の調子が少し悪いなと感じるときもこのパックを使うとリセットされたような感覚があるんです。日本の皮膚科医が開発したもので、安心して使えるのもいいなと。
それから、時間がない時は水素パックを化粧水代わりに使っています。産後や授乳中も安心して使えるので、お風呂上がりに授乳しながら顔に貼っていました。水素パックを使う前には、水素クリームを塗っています。合わせて使うことで、より高い抗炎症・抗酸化効果を感じます。

低気圧の日は偏頭痛がすることが多いので、そんなときはCBD配合のバームをこめかみや眉の下、目のツボにしっかり塗り込みます。ミントのようなスーッとする香りがあって、不思議と痛みが和らぐんです。ビオセボンなどでも購入できる手軽さもいいですね。軽い頭痛であればコーヒーを飲んで解消することも。カフェインは血管を広げる作用があるので、朝の一杯が効くときもあります。
ブレンドオイルも同じく頭痛対策に。スースーする香りで肩まわりにたっぷり塗ると自然と痛みが和らぎます。水を入れたボトルにオイルを数滴垂らすと、子どもも安心して使える虫よけになります。
もう一つは寝る前のルーティンとして取り入れているのが、CBD入りのルームスプレー。パチュリ、トンカビーンズ、シダーウッド、フランキンセンスがブレンドされていて、リラックスしたい夜や、自律神経が乱れがちなときに部屋に散布するとリラックスして眠れます。

フェイバリット favorite 使い続けたいもの

リカバリーレメディ

リカバリーレメディ

仕事を快適にしてくれる大事な相棒、何気ない日常を彩る日用品など、“いつもの自分”をつくってくれる、お気に入りのアイテムはありますか?
これまでも、これからも、長く使い続けたいものを教えてください。

リカバリーレメディーを常に持ち歩いています。植物の成分を調合したエッセンスで、ストレスを感じたり、パニックに陥ったり、感情の起伏を感じた時に緊急処置として、舌下に何滴か落として服用しています。すると、力が抜けたり、感情を鎮静させてくれる気がして。お守り代わりですね。

ドリンク drink お風呂上がりの一杯

水を体温よりも高めで

水を体温よりも高めで

私たちのチームは「お風呂と健康」について長年、研究してきました。心をほぐし、体をしっかり温めてくれる入浴タイムの後、喉を潤すためにどんなドリンクを飲んでいますか?
愛飲している一杯を教えてください。

井澤先生から「自分の体温より少し高いくらいの温度の飲み物を摂るといい」とアドバイスを受けて以来、お風呂上がりも、冷たい飲み物ではなく、できるだけ人肌程度の温かさのものを飲むようにしています。水だけだと飲みにくいので、レモンを入れることが多いです。このレモン水も産後に教わった習慣のひとつ。産後ケアの専門家の方から「レモン水は炎症を防ぐ効果がある」と教えてもらってから習慣として続けています。

Photo/Yu Inohara

Text & Edit/Mariko Uramoto

フレンズ friends 友達から友達へ

思いがつながり、バトンを渡すようにインタビューが続いていきます。