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  • 自分にフォーカスして、 湧き上がる感情を大切に。
  • 足元から整えることで、 健康な身体と心を養う。
  • 軽やかに、自分らしく、 伝統の枠を飛び越える。
  • いつもの自分に戻れる 方法を知っておく。
ネイリスト 関根 祥子さん

自分にフォーカスして、
湧き上がる感情を大切に。

interview2025.02.26

江戸切子職人の三澤世奈さんから紹介いただいたのは、抜け感のあるデザインネイルで感度の高い女性を中心に支持されるネイリストの関根祥子さん。仕事中心の生活を見つめ直し、昨年、自身のサロンをクローズして、現在は新たな働き方を模索中。自分らしく健やかに生きていくための心と体のケアを伺いました。

プロフィール

関根 祥子さん
ネイリスト 関根 祥子さん

せきね・しょうこ/絶妙なバランス感覚で、その人に寄り添ったパーソナルなデザインネイルで人気を集める。2012年にオープンしたネイルサロン「mojo NAIL」ではファッションやアートに親しむ感度の高い女性のファンを中心に多くの人がこぞって通う。2024年の5月に休業し、現在はワークショップやイベントを通してネイルと耳ツボを発信。

私のとある一日

辞める以外に変える方法がなかった。

―2012年から続けてきた自身のネイルサロン「mojo NAIL」を昨年クローズされました。驚かれたファンも多かったと思いますが、きっかけは何でしたか?

独立してから仕事中心の生活で、コロナ中はさらに仕事が忙しくなってしまって、このままの働き方を続けていたら、いつか病気になるかもしれない、とモヤモヤしていました。ネイル以外の表現をしてみたいと思いつつも、しばらくは、何をどう変えていいかわからずにいましたが、「mojo NAIL」の10周年を機に個展をすることにしたんです。絵を展示したり、満島ひかりさんとコラボしたムービーをつくってみたり。やってみたいことを全部やりました。それをきっかけに自分の将来をより具体的に考えるようになって、一年後にサロンをクローズすることにしました。
当初は規模を縮小することも考えたんですけど、その方が難しかったんです。お客様はほぼ月に1度のペースで変わらず来てくださるので、私が営業日を減らすとしたら、お客様の数を絞らないといけない。でも、それは現実的に難しい。止まるのは怖いけれど、止める以外のいい方法がわからなかった、というのが正直な気持ちです。

―サロンを閉じた後、最初にしたことは何でしたか?

このまま東京にいたら完全に仕事を辞められないと思ったので、すぐに1ヶ月間ほど海外に出ました。物理的に絶対ネイルの仕事ができない環境を自分で作ったんです。ただ、最初は楽しかったですが、しだいに不安と戦うことになりました。というのも、これから自分が何をして生計を立てていくのか決まってないのに、お金ばかりが出ていくので、「この先何をして、収入を作っていけばいいんだろう」とモヤモヤが募って。だからといって、帰国後すぐにネイルの仕事を再開したらまた同じことの繰り返しになる。どうしたらいいのかと思っていた時に、海外の友達の店でネイルのポップアップをする機会があって、数日間だけ働いたんです。わずかな時間でしたが、そこで「お金がなくなったら、また働けばいいんだ」と思えて、不安から抜け出せました。

きっと、それまで「mojo NAILはこうでなきゃ」という在り方を自分で固めてしまっていたんだと思います。でも、本当は何をやってもいいし、人から「すごい!」と言われなくてもいい。お金が必要になったらバイトすればいいし、やりたくなったらネイルをやればいい。自分がしたいことをやっていけばいいだけなんだと思えたら、仕事に対する向き合い方が変わって、すごく楽になって。旅行中は最大限の自己投資をしようと前向きになれました。本当に食べたいもの、本当にやりたいと思うことは高くてもやる。お金のことは帰ってから考えればいいやと吹っ切れました。

何者でもない自分をただ生きてみる。

―旅先で働き方に対する考え方が変わり、帰国後はどのように過ごされていますか?

しばらくは、ただ生きてみようかなと思っています。それまでは「何かしないと!」って思いがちでしたが、ネイルに関しては全く予定を決めていません。ただ、生活費は必要なので、友達のみのごく限られた範囲で予約を取ったり、ポップアップイベントに出店したりしています。でも、基本的には今をただ生きてる状態ですね。

―”ただ生きてみる期間”はどうですか?

正直なところ、葛藤はあります。「関根さん何してんだろう?と思われないかな」と人の目が気になったり、活躍している人たちをSNSで見ると、「やっぱり私ももっと頑張らなきゃいけないかな」と思う。けど、そのたびに「違う!」と自分を引き戻して。今は意識的にSNSから離れる時間を作って、自分にフォーカスするようにしています。焦って何かを頑張るんじゃなくて、自分の内側から「やりたい!」とわきあがってきたことをやれるように。

―今後やってみたいことはありますか?

具体的に落とし込めてはないけど、ワクワクすることをやりたいなと思ってて。そのうちの一つが、耳ツボなんです。

自律神経を整える、美しく。

―2年ほど前から耳ツボの施術もされているそうですね。耳ツボとの出会いは?

バリバリ仕事をしていた時、肩こりや目の疲れ、体力の衰えや、疲労感が取れなくてずっと不調だったんです。でも、どこから改善すればいいのかわからない私に友達が耳ツボを勧めてくれました。施術を受けてみたら、パッとモヤが晴れるように体調が良くなって。それで、ネイルにきてくださるお客さまにも耳ツボをやってあげたいと思って、講習を受けに行きました。

―耳ツボの良さはどんなところにありますか?

顔が上がるという目に見えてわかる変化もあるんですけど、施術をすると何となくダルかった体が楽になるんです。耳には自律神経に関するツボが集中しているので、ツボを刺激すると、自律神経の働きが整えられます。施術した後、ツボを刺激する小さな磁気ボールがついたシールをつけている間もずっと調子がいいんです。耳のツボは小さなスペースに密集しているので、専門家でなければ正確な位置をとらえるのが難しいのですが、細かな位置は気にせず耳を全体的にマッサージすることで、全身を調整することもできます。私は友達が作ったイヤーオイルを使って普段から耳のマッサージをしています。身体全体の気血の巡りが良くなってぽかぽかと温まってくるんです。耳のマッサージをした後にお風呂に入ると巡りが良くなって、毒素が出ていく感じがします。私が耳ツボに出会って体の調子が良くなったように、こういった気軽なセルフケア術を今後発信していけたらいいなと思ってて。今後は他ジャンルとコラボレーションしながら、耳ツボに興味のない人にも届くような形で届けられたらいいなと思ってます。

ティンシャ(チベタンベル)やシンギングボウルも心と体を整える大事なグッズです。朝起きた後や瞑想の後に鳴らすと心がすーっと落ち着くし、独特の音の揺らぎを聞いていると、脳のマッサージになっている感じがするんです。あとはシャクティマットといって超トゲトゲのマットの上に乗って、リラックスした時にシンギングボールを鳴らすと最高なんですよ。シャクティマットは最初は痛くて辛いんですけど、数分乗っているうちに慣れてきて、この上で寝られるようになります(笑)。仰向けでも、うつ伏せでも、横向きでも大丈夫なんですが、1日の終わりにこれに乗って、寝た次の日は体がスッキリして、コリが和らいでいる。だから、寝る前に必ず乗るようにしています。

ネイルケアも私の中では変わらず大事な習慣です。マニキュアを塗ってデザインするのも好きですが、ルーススキンという甘皮をケアするだけでも、爪回りがスッキリして気持ちがいい。整えている間は作業に集中するので、瞑想状態に入っている感覚もあるし、邪気が取れる感じもします。先端がスッキリするとなんか浄化される感じ。足先や手元が綺麗になるし、気持ちも変わります。

フェイバリット favorite 使い続けたいもの

小山剛の木のお盆

小山剛の 木のお盆

仕事を快適にしてくれる大事な相棒、何気ない日常を彩る日用品など、“いつもの自分”をつくってくれる、お気に入りのアイテムはありますか?
これまでも、これからも、長く使い続けたいものを教えてください。

人の手で作られたものが好きで、旅先や都内のギャラリーなどでお気に入りを見つけて、日常使いしています。特に気に入っているのは木工作家・小山剛さんのウッドトレイ。プリミティブな木の年輪の表情と人が削ったことで生まれる絶妙な丸みが好きなところです。

ドリンク drink お風呂上がりの一杯

まろやかな温泉水を常温で

まろやかな 温泉水を常温で

私たちのチームは「お風呂と健康」について長年、研究してきました。心をほぐし、体をしっかり温めてくれる入浴タイムの後、喉を潤すためにどんなドリンクを飲んでいますか?
愛飲している一杯を教えてください。

お風呂上りに飲むのは水です。塩を入れたり、レモンを絞ったりすることも。白湯はほぼ飲まなくて、基本全部常温ですね。水は温泉水を買って飲んでます。「財宝」「月の滴」が好き。口当たりがまろやかでおいしいです。

Photo/Yu Inohara

Text & Edit/Mariko Uramoto

フレンズ friends 友達から友達へ

思いがつながり、バトンを渡すようにインタビューが続いていきます。